便利なビクトリノックス−マルチサバイバルツール−

ナイフにハサミ、缶切りやドライバーなどの便利ツールを手のひらサイズのハンドルの中に
納めたマルチツール。様々な道具が溢れている日常では必要無いモノのように思えます。
キャンプやバーベキューや野外活動などのアウトドアくらいにしか出番がない。アウトドアでも
道具を持ってきているから必要ないと思ってしまいますよね。
でもどんなに便利な時代になっても一つだけ変わらないことがあります。
「道具は使いたい時にその場所にないと意味が無い」
唯一つこの法則のためだけにマルチツールは存在しています

ビクトリノックスは１８８４年、ナイフメーカーとして創業した。創業者はカール・エルズナー。
今もなおエルズナー一家が会社を守り続けている。
ビクトリノックスの社名の由来はエルズナーの母親のクリスチャンネーム「ビクトリア」と
鉄（ステンレススチール）を意味する言葉「イノックス」を合わせて創られた。
創業者のカール・エルズナーはパリ、ドイツなどを遍歴してナイフ職人としての技術を学び、
１８８４年故郷スイスへ戻り工房を開く。
工房は近くの河川からの水力を利用して建設された元製粉工場だった。
刃物作りには水が欠かせない。「焼き入れ」「焼き戻し」には多量の水を使うし、研磨するための
グラインドを回す動力にも欠かせなかった。
だから、この製粉工場を改装したエルズナーの工房には、ナイフ作りをする条件が揃っていた。
そして、創業から７年後の１８９１年、エルズナーははじめてスイス陸軍にソルジャーナイフを
納入できるまでに成長した。それはメインブレードにドライバー、缶切り、穴あけの構成の
マルチツールの原点とも言えるものであった。

そして１８９７年にはオフィサーナイフが特許を取得する。オフィサーナイフはソルジャーナイフの
４機能に加えてさらにもう一枚スモールブレードとコルク栓抜きが加えられた計６本のツールを
備えていた。機能を増やしてもツールを出し入れするためのバネは２個に抑え軽量化を計り、
ハンドルを滑りにくい材料に変え、マルチツールとしての完成度を高めていった。
優れた製品には必ず模倣品が作られる。ビクトリノックスも例外ではなく、ドイツをはじめ各国の
マルチツールが氾濫し、模倣品の攻勢を受けて立つこととなった。
模倣品との競争に打ち勝つためにビクトリノックスは製品のクオリティとアイデアで立ち向かった。
マルチツールにノコギリとハサミを加え、道具としての可能性を開いた。
新素材も積極的に採用し、ステンレススチールが実用化されるといち早く調達し、製品に
反映させている。こうして他の追随を振り切り、マルチツールブランド「ビクトリノックス」は
１２５年という長い年月、そのトップブランドの地位を守ってきた。
道具としてのクオリティ、新しいツールの開発どれもがマルチツールを使う人のことを考え抜いて
作られたからこそ、ユーザーに受け入れられたのだろう。

そして現在、便利な道具があふれている今ではナイフを必要とするシーンはなかなか出てこない
ように思える。ナイフが必要な場面は、手に取る前にメーカーで必要の無いように処理されて
いるか、別の道具で解決されていることが多い。現在でのオフィスや家庭のシーンではマルチ
ツールの出番は無いように思われる。
しかし、自分の経験で言わせてもらえれば、それは必要な場面であきらめているか、むりやり
別の道具で代用していることが多い。デスクや部屋など自分のテリトリーの範囲ならいろいろな
道具があるので、困ることはない。どこかに出かけた時、車の中、会議室などテリトリーの外に
出た時にこの小さな道具が活躍することになる。例えば、靴下などの商品を購入してすぐに
使いたい時、タグを切るのに道具が無くてハサミを探した経験はないだろうか？売り場ですぐに
切ってもらえればいいのだが、忘れてしまうと手で切ったり、何かで挟んで切ったりして苦労した
ことはないだろうか？意外と自分の道具は持ち歩いていないのだ。
ビクトリノックスの一番小さいモデルをバッグのキーリングに付けている。こういう時、バッグから
出し、何事もなかったかのように使えてしまうのがビクトリノックスなのだ。

日常生活以外ではビクトリノックスは活躍の場が広がっていく。
例えばドライバーの類の工具類、今では電池でうごくおもちゃの電池カバーは安全対策のため
ほぼねじ止めするようになっている。子供が「おもちゃが動かなくなった」とか久しぶりに出してきた
おもちゃならなおさら電池交換の必要が出てくる。このとき意外と見つからないのがドライバー
そんな時、さっと出して、電池を替えてやると子供の目はキラキラ輝いて「お父さん（お母さん）
すごい！」と言っているようだ。ただの電池交換なのだが、ドライバーを使っておもちゃをごそごそ
いじるとまた動き出す。おもちゃのお医者さんのように見えるのかもしれない。
野外活動やキャンプ、バーベキューなどはビクトリノックス持っていればみんなに頼られること
になる。テントの設営や料理の下準備、野外散策時などにドライバー、ナイフ、はさみ、缶切り
など、どの場面でも活躍してくれる。ビクトリノックスを使って、作業するのが一番頼りになるが、
マルチツールを持っているので貸してあげるだけでも、ＴＰＯを知っているなと感心してもらえる
のである。

そして現在、ビクトリノックスは時代に合わせて進化し続けている。
マルチツールにもカード型やプライヤー型など、シーンに合わせて使いやすいように
改良されたものや、さらなる便利ツールを納め多機能化させたものなどバリエーション豊富に
取り揃えている。
マルチツールと言えばアーミーナイフと呼ばれ、親しまれており、ビクトリノックスはその代表の
ように語られることが多いが、ビクトリノックスは自社製品をアーミーナイフと呼ぶことはない。
スイス軍に収めたのはソルジャーナイフであり、オフィサーナイフであってアーミーナイフでは
ないからである。アーミーナイフと呼ばれるようになったのは第二次大戦後アメリカ軍の
売店でマルチツールが販売されその多くがビクトリノックス社製であったことから、アーミーナイフ
と通称されるようになった。

過酷な条件を生き抜く軍の要求を満たし、自国軍の御用達となっただけでなくその優秀さが
世界に認められ世界の一流品になったビクトリノックス。
そして、持つだけでなく使う楽しさ、便利さを実感できるこのマルチツールを一つ手に入れて
みてはいかがだろうか？
その手の中にスイスクロスの入ったマルチツールを握った時、貴方は頼れる存在への
切符を手に入れたのだ。

とまあ、偉そうなことを書いてみましたが、このマルチツールという商品、なかなか使える道具
なんです。何のこだわりも無ければ、スタンダードなマルチツールを一つ持っておくっていうのが
おすすめなんですが、 自分の生活や趣味のスタイルに合わせて選べたりして、自分のための

こだわりの道具という感じで持てたりもするんです。
模型作りや工作、日曜大工が好きな人には工具ツールに振ったマルチツールを
マリンスポーツが趣味の人にはマリン向けのマルチツール。
オフィスでデスクワークで使いたい人にはオフィス向けのマルチツール。
ガーデニングが趣味の方にはガーデニングナイフがあるマルチツール。
自分のライフスタイルに合った種類を選べるのも嬉しくて、目的のためのツールを持ってると
思うと自慢したくなっちゃいます。

次のページではビクトリノックスのマルチツールの色々について書いてみたいと思います。